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遺書 5人の若者が残した最後の言葉

 

遺書―5人の若者が残した最期の言葉 (幻冬舎文庫)

遺書―5人の若者が残した最期の言葉 (幻冬舎文庫)

 

 若い頃、または今でも時々脳裏を過るのではないでしょうか。「死にたい」と。

そんな毎日です。たまがわです。今回はこの「遺書」というタイトルが付いた本についてレビューしようと思います。

概要

この本は5人の若者(そのうち4人が10代)の自殺について扱ったドキュメンタリーです。10年以上前に出版されたにも関わらず、この本は今を生きる僕にも心揺さぶられるものがありました。

ただし、この5人は僕が考える「メンヘラ」の定義には当てはまらないと思います。もしかしたら、もし命を永らえていたらそう「なっていた」可能性までは否めませんが(というか誰だってメンヘラになるリスクはあります)、彼らが自ら命を絶った時にはメンヘラではなかったように思います。

文庫化されていて手に入りやすいため、5人全員各々に対するレビューは敢えてしません。というか書くのがめんどくさいです(本音)。ざっくりと、彼らに共通する特徴と自殺前の兆候、そしてこの本の最も大きなテーマであるいじめ問題について書いていきたいと思います。

パーソナリティ

この5人に共通する性格があります。それは「手のかからないいい子」、「学校では優等生」そして「悩みを打ち明けにくい」この3つです。特に「悩みを打ち明けにくい」というポイントが重要です。なぜなら、このような性格はうつ病になりやすいからです。

以上の3つが重なると、何が起こるでしょうか?それは「いじめのターゲットにされても周囲が気付けない」ということです。たとえいじめられても彼らは周囲を気遣ってそれを打ち明けたりしません。またはその報復を恐れて出来ません。

なので、彼らはフラストレーションを発散することが出来ずにうつ状態になります。そして、最悪の場合自殺に陥ります。「急性うつ状態による自殺」と判断されるでしょう。

なぜ自殺を防げなかったのか

この5人エピソードは今からだいたい20年位前のものです。ざっくり言ってしまうと当時このような重篤なうつ状態や子供の自殺リスクなどへの、公的な対策が不十分だったからといえます。

今ではいのちの電話や、スクールカウンセラーの公立学校への設置など様々なライフラインがあります。しかし、そこにはこの5人、そして名もなく命を絶った数知れない青少年の犠牲があったからだと思います。社会でのメンタルヘルスへの関心の高まりも、名も無き誰かの犠牲の上に成り立っているのです。

メンヘラの苦しさは人それぞれです。安易に誰かと比較できるようなものではありません。ですが、過去のこのような悲惨な事件によって得られた知見が、どこかであなたを生かしてくれているのかもしれません。この本はそれを教えてくれました。

ではまた次の記事で、au revoir!